仏教徒の水島

一生で読める本の数なんてたかが知れている

たまに聞くことだが、あまり実感が湧かないでいた。

月に1冊読んだとして、年間12冊、50年で600冊。多いようだけど、決して無限ではなくて、むしろ、あと50年生きるとしても、夏はあと50回しかこないのか。 

 

ミャンマーに行く機会がありそうで、ふと『ビルマの竪琴』を読んでみた。

水島上等兵が僧になる話であることはなんとなく聞いていたけれど、思った以上に考えさせられる作品だった。

もともとは童話として書かれたそうで、確かに話の運びはテンポが良くさらりと読めるものの、内容は子供向けではないように思う。

 

集団心理について書かれた部分があって、集団である方向に向かっていて、テンションが上がっていると、個人が違和感を持ってもそれを言い出せなくなる異様な勢いが生まれてしまうというようなことが書かれている。

水島はその集団に属していないので、内部から声を上げるようなことはしないが、欅坂に通じるような描写で、

 

あとはミャンマー残るという決断が、その国のためでなく自国民のため、というのが今の海外ボランティアとは違う、日本人だからこそという意思があった。結局全ては自分のため、とは思っているけれど、責任感は内に残しながら、理由を外に置くというスタンスは共感できた。

 

ビルマ僧を素晴らしく書かれているものの、今のロヒンギャの問題を考えると、その価値は変わらないにしても、それは一面に過ぎないとも思わされる。

 

ビルマの竪琴 (新潮文庫)

ビルマの竪琴 (新潮文庫)