全体的にはキライ

UVERworldをご存知だろうか。

人気のロックバンドであり、卑下した言い方をすると女子中高生あたりに人気がありそうな雰囲気、楽曲を作る。

がっつり濃いめの味付けで、若さ、むしろ幼さがないと食指が動きそうもなく、イントロから斬りつけるようなシャウトが入ったりで早々に年寄りには耐えられなくなるような。

歌詞も『世の中はこんなんじゃないはずだろう?』みたいな10代の窮屈な感覚に沿うような、少しだけ具体的でほとんど抽象的な世界観で、多くの若者が自分を重ねられそうにできていると思う。

 

ここまで書くと『そんな幼稚なバンドで全然価値がない』という結果に持っていけそうだが、僕はこのバンドが好きなのである。

いや、上に書いたような理由でパッケージとしてはキライで、女子中高生だけに受けてればいいと思っているし、ビジュアルとかMCとかも全体的に共感することはほぼない。

自分の仕事のことなんてわかるはずがないし、いっぱしのバンドマンが世の中のことなんて知ってる訳がないし、実際に歌詞も自分には空回るものばかり。∞ってなんだよ、とか。

なのに、ふとえぐるように共感させられる歌詞やメロディーがあって、しかもそれが狙っているように出てくる。

 

インタビューとかも読んだことはないけれど、フロントマンのTAKUYA∞という人は上っ面を極めたアーティストなのかと思う(褒め言葉)。

多くの人に共感させる能力がアーティストには必要だと思えば、どんなアーティストも自分の経験から想像して表現する世界を作っているのだろうから、上っ面に過ぎないのかも知れない。

ただ、自分にとってはUVERworldの上っ面感は『どうせ俺にはお前らのことなんてわかってねぇよ』みたいな開き直ったシャウトの上に成り立ってそうで、それがたまに綺麗に切りつけてくる。

天然でも計算でもいいが、全体的にキライなのに聞く気になるっていうのは結構好きなんだろうなと思わされる。


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