京浜東北線

九月のある日、京浜東北線に乗って行けるトコまで行こうとした。

上野→田町間はなぜか何度か乗ってことはあったものの、その先は未曾有の地だった。

別にそれが目的で乗ったわけじゃない。東京で降りてその辺散歩しようと思ってた。だけど、東京で降りるのを我慢したら、もう降りる機会を見失ってしまった。一度告白するチャンスを逃したら、その先は奮い立たないと当分そんなチャンスはやってこないという感じ。違うか。

山手線とはぐれるとどこか不安な気持ちが出てきた。きっと自分の場所が少しずつ分からなくなってきてるのに気付いてのことだったと思う。

新幹線とも別れて電車は夕焼けの住宅街へ。いっぱいいた会社帰りのサラリーマンも少しずつ降りていった。駅名はもはや初めて聞く名前に。

いつの間にか視界が狭く、ぼんやりしてきた。眠かったのかもしれないけど、どこか違うような感じ。都合のいいように書けば迷子になった子供の気分に近い。

周りの人を観察する余裕なんてなくて、いつまでこの車両に乗っているのかも分からなくなって。数駅しか過ぎてないのにずいぶん遠くまで来た印象。

このまま終点まで乗っていようか。何の問題もないはずだけど、なにかとても引っかかる。不安になる。

 

結局、横浜で逃げるようにホームに飛び出した。