武士道

夏に『武士道』を買って、長いことかけて読んだ。一通り読んだけど、ちゃんと内容を理解できたかというと微妙。
最近はわりかしカジュアルな表紙で原文のとか原文と訳がいっしょに載ってるやつが出てて、意外に人気なんだな、程度には思った。
ところが、武士道が本のランキングに入っているのを見た。

夏に買ったときは五千円札から消えてしまった新渡戸稲造という人は、この『武士道』という本だけでお札になれたんだなぁ…(裏の事情があったのかは知らない)と思ったらちょっと興味がわいて、日本人なら読むべきだろう、みたいなノリで読み始めた。何度か耳にしてたからこそ、そう思えたのかもしれないけど。

だから世間でいまさらにこんなに読まれているということに少し驚かされた。
いったい何が原因だったんだろう?

読んだ印象としては単純に今とはずいぶん違う感覚だなぁ、という感じ。確かに理想にするのはいいし、かっこいい生き方だとも思うけど、お金儲けとは無縁に、鷹は穂を摘ままないで生きてくようにすべきだと言う。かっこいいけど今の世の中、日銭くらいはちゃんと持っていたいし、実質金利マイナスとか言われても貯蓄の少々も持ってないと不安もあるから。その辺は少し時代にあわないのかも。

他に忍耐みたいな要素が武士には求められてて、茨の道を選べとか腹を切って死ぬときも、『生きる方が戦いだ』っていうときは死んで美化されることを望んじゃいけないだとか。マゾヒズムと言えばそうだけどこれも今の倒錯した感覚よりは理解できるし見た目にもいい気がする。

全て書いてあるように実践しようとしたらかなりやりにくいことになるだろうけど、エッセンスだけ汲み取って(男女の立場のあり方とか)みると、今でも十分通用するし、全然古い考え方だとは思わなかった。

ただ、なんで売れてるのかはよくわからないです。軽いブームがあったんだろうけど。