何がわかるか

前回同様に、少し肩肘を張ったつもりです。もっとキャッチーな事を書けばいいのに、と自分でも思っているんですが。

最近読んだ本や研究の経験なんかもあって、データの読み方についてそれなりの基礎ができてきたと思います。といってもそんなに大げさな話ではないのだけど。最近流行のデータの捏造となると、さすがにデータからにその真偽を明らかにすることはできないけれど。

たとえば意識調査として、

『日本の既婚女性の6割は出産を望んでいない』

という結果があったとして(実際にはない)、ここから

少子化の原因は出産への意識の低さにある』

と結論づけたとする。

確かにこの6割の人の意識が変わればそれなりに影響は出そうだけど、かなり乱暴な流れではある。学術研究でも同様に、見るべきなのは

 母集団はどれくらいか

 どういう調査をしたか

 何がわかるのか

というところだと思う。

母集団が10人と1万人ではだいぶ精度が違ってくるし、対象が都市部か農村部に集中していたら『日本の』と冠するのは疑問が残る。

『出産を望んでいない』についても、選択肢を提示していた場合、『望まない』、『消極的である』、『どちらかといえば望まない』、『条件次第では望むが、現状では望まない』など、様々な選択肢が考えられ、何を提示したのか、どこまでを『望まない』と解釈したのか、など結論を受け入れる前に確認すべきプロセスは多い。

また、そもそも既婚女性全体を対象とすることに問題がある。50代の既婚女性が子供を望まないのは別に不健全でもないと思うし。そう考えれば、全体で6割が望まない、としても実はそんなにおかしなことじゃないかもしれない。

年齢別に集計したとしても、年代ごとの意識の変化を追うにとどまって、少子化の原因を探るためにはあまり適切な調査ではないと言える。

条件として、『現在の子供の数』、『仕事の有無』、『経済状況』、『親と同居しているか』などを踏まえたうえで検討しなくては、意味のある分析をしたとは言えない。

まぁ、落ち度の大きな例を作ったまでで、この話については実際にちゃんとしたデータがあるのだけど。

 

新聞なんかだと、それなりにちゃんと解釈して記事を書いてくれてるけど、それでも生データを自分で見てみる意味はその労力と同様に大きいんだと思います。