流行のはしか

はしかの流行が騒がれて、都心では休講になるケースまで出ているようです。

小中学校の頃には、はしかって名前は聞いてた気がするし、確かに予防接種も受けてたはずだと思います。
今回の流行は、予防接種は一度受けていたけれど免疫力の低下によって、発症してしまったケースが多く、発症しても症状が出にくい、『修飾麻疹』などと呼ばれるケースなんだそう。このせいで自覚症状がなく、感染が広まった原因にもなったとありました。

予防接種を受けていたのに発症した、なんていうと『なんのための予防接種だったんだ?』ってことになりそうだけど、人の免疫機能なんてそんなものみたいです。

今回はそれとともに、予防接種が義務でなくなっていたため、予防接種を受けている人の割合が7割程度しかなかったことが問題視されています。
1989年に新三種混合ワクチンが義務化されたものの、副作用による問題が起きたため、義務ではなく推奨というかたちに変更し、自主的な接種を求めることになったんだそうです。子供の体調と相談しながら接種してください、という感じだったんでしょう。

ですが、副作用というリスクと、はしか、おたふく風邪、風疹に罹るリスクを比較して、前者の方が大きいと感じた人が多かったんでしょう、そこまでして予防接種は受けません、という人がいたため、7割という数字が出てしまった。『素直に予防接種を受ければいいのに』というのは簡単だけど、当時のMMRワクチンに対するイメージはおそらく今の『タミフル』に近いものがあったと想像できるし、予防接種を受けなかったことが浅はかだったとも言い切れない。

こう考えると、今回のはしかの流行はある種の『薬害問題』に端を発するものに思えてくる。
要はリスクをどう評価し、どのリスクを選択したのか、ということ。
もちろん今回のはしかの被害がどのくらいの規模になるかは分からないし、それだけで予防接種の義務化を廃止したことが正しかったかどうかを比較することはできないと思う。

個人的には義務化は廃止すべきではなかったと思っています。受けるか受けないかのリスクの選択を個人に委ねるということは、リスクを管理する側からすればその仕事を放棄したとも捉えられる。
『自己責任』の潮流があったにせよ、当時最良のワクチンを用いていたとすれば、体調が悪ければ機会を改めるなど、慎重に使わせたりするなどしてリスク管理の業務を続けていくべきだったんじゃないかと。

なんだか医薬行政がどこか守りに入っているという印象がある。
一連の薬害裁判で負け続けていることも考えれば慎重にもなるでしょうが。
それ以前に、動いても動かなくても、犠牲が出れば責められるわけだからやりきれない立場だとは思うけれど。
そういう意味で、ひとまず冬を乗り切ったタミフルをどうしていくのかは気にしています。