ガリレオ計画

ガリレオ計画』というEUで独自のナビゲーションシステムを立ち上げようというプロジェクトがあります。
詳細は分からないけど、『欧州版GPS』くらいに把握しています。GPSはアメリカのものなので。

EUではうまく民間と協力して、収益事業としてこの計画を前々から推し進めています。
利用を有料とすることで収益を上げる予定ですが、GPSの利用は無料なので疑問もあるようです。

先日、そんな採算性の理由などから、民間企業の協力が滞り計画も中断していたため、公的資金でまかなうということになりました。ただでさえ計画が遅れていたのに。
記事によると、企業の人間は
「コカコーラが無料で飲めるのに、ペプシコーラをお金を払ってまで買う人はいないだろう」
と話していたとか。

国が枠組みだけがんばって作っても、中身に民間の力が入ってこないと結局は外側だけの計画倒れになって、『画竜点睛を欠く』みたいなことになってしまうようです。

この話を聞いて思い出されたのが『OIST(沖縄科学技術大学院大学)』。
奈良先端技術大学とか北陸先端科学技術大学のような、科学技術に重点を置いた拠点作りを兼ねた大学院大学を沖縄に作ろうという計画です。

特徴としては、アジア、太平洋の拠点として、国際的な環境を目指していることと、ただ科学技術研究のレベルを上げるだけでなく、沖縄経済の発展にも寄与していこうとあまりインフラが整備されていない地域に立地させたことがあげられると思います。

ガリレオ計画から連想されたのは、計画の遅れと外枠は整えているのに中身が充たされてこないという状況。外枠すらも微妙かも。
予定では今年度には開校の予定だったものの、教授陣の頭数が集まらないなどの理由からどんどん先延ばしになってるという。

琉球大学には理系学部があるにしても、研究という点では未開発な地域に一から研究環境を作ろうとすれば、まずは研究と生活のインフラを作ることが先決だと思います。
専門書やら論文はネット上とかamazonを使えばいいとしても、試薬や器具などは仲買の業者さんが必要になるはず。研究者も人間だから、ファミレスとまでは言わずとも食料品の確保はできないと困る。家族がいれば家族の生活も考えなきゃいけないだろうし。

その辺を考えると、拠点創造と経済活性化という理想を掲げた旗を振れば人がほいほい集まってくると思ったとすれば、見通しが甘すぎたんじゃないかなぁ、と思ってしまいます。
この二つを両立させようとした発想はすごいと思うし、成功してくれたらいいとは思うのですが。

『アジアの研究拠点』を作るというだけでも難しいはずなので、その目標だけを目指して、はじめから立地の整った場所に計画した方が効果的だったと思います。そこにうまく国際色を入れて、関東関西周辺に作ったら、それなりに国内外から研究者も集まっただろうし、投資額も抑えられたんじゃないでしょうか。

長くなってきたんで、とりあえずこの辺にしときます。