新書ブーム

新書がブームです。
僕も教養のつまみ食いは好きなこともあって、文庫よりも新書を読むことが多いです。
去年から今年にかけて、知っているだけでソフトバンク、朝日、幻冬舎アスキーが新書業界に参入してきていて、これだけ見てもこの業界がアツいようです。
ただ、新書ファンとは言え、この新書ブームにはちょっと心配な面もあります。

新書というと、まず岩波新書が浮かびますが、今でも非常に硬いタイトルが多く、一般には有名人でなくても、業界では知らない者はモグリだ、みたいな人が書いている印象があります。
まさに、専門を学ぶための入門書になるような。

でも、最近の新書はそういった入門書ではなく、どちらかというと実用書に近いのです。
『~の品格』、『~はいけない』やら『なぜ~なのか』といった、一見、興味は惹かれるものの、中を見ると当たり前のことをあたかも隠されていた真理のように書いてあるだけだったり、世の中の何気ないところに専門の視点を当てはめて、とりあえず理屈付けてみたりだったりする。
話題にはできるが、入門レベルの基礎知識を得るには物足りないものが多い。
買う側からすると、ただでさえ玉石混交だったのに、今まで以上に選ぶのが難しくなりました。

ニーズが変わったからさ、と言えばその通りだし、上のような本だって、売れるだけあって、おもしろいと思います。
ただ、手短に全てを把握したような気にさせる本が売れる、っていうことは専門書が売れにくいことも踏まえると、手軽に知識を自分のものにしたいというニーズが多くなってきているといえる。
これが今後、専門書のブームなんかにつながれば文化レベルが上がったと言えそうだけど、単発のブームだとすると、薄っぺらい教養をひけらかすだけの世の中になってしまう気がします。

自分も新書好き、と言ってるので自己批判の部分も大きいんですが、謙虚に読書していきたいと思います。