佐野さん

 先日女子バレーの大会が連日のようにテレビでやっていて、ちょうど手持ち無沙汰な状態だったので、毎日のように見ていました。

 もともと『男子バレーの後では女子バレーは見られない』と言ってしまうほど、女子バレーを軽く見る節があったものの、改めて男子バレーと見比べてみると、楽しむポイントがだいぶ違うんだな、と思い考えを改めさせられました。サッカーで喩えるなら、すごいシュートはないものの、中盤からのパスがうまいという具合。華やかさはあっても派手さに欠けるところは致し方ない。

 そんなちょっと地味な女子バレーの中でも一際地味なポジションでがんばっている佐野さんが最近すごく好きになりました。栗原ほどアップで映されることもなく、竹下さんほど実況で評価されることもないので、リプレイで見られるときはすごく嬉しくなります。唯一の救いは、リベロのため、他のメンバーとは別の色のユニフォームを着ているから目立つことくらい。逆にリベロだからこそ、アタックもサーブも打たず、トスもほとんど上げず、ひたすらレシーブに徹するわけだけども。

 あと、長身ばかりのチームの中でだいぶ小さいから、ということもあって、容姿もかわいらしく見えます。特に派手な顔立ちでもないし、年上だけど。タイムアウトの後にみんなで手を合わせてるときなんかは、完全に子ども扱いされてるみたいで、少しかわいそうにも見えます。

 そんな佐野さんですが、アテネのときはオリンピック直前で代表から外された過去があって、この4年の間にフランスのチームでプレーしたりと、努力を重ねてきたということを知ると、さらに応援しようという気がおきてきます。

 終始『地味』という言葉が当てはまってしまう選手ですが、まさにこういう選手がいるからこそ、いいトスが上がり、いいアタックが打てるんだと思います。相手チームのサーブが佐野さんを避けて打つのが分かるときなんかは特に嬉しくもなってしまうし。桜木花道みたいに、1本のアタックを拾うことは2点分の価値があると思うこともあって、さらに注目する気になってしまうんです。

男子の植田監督の喜び方も嫌いじゃないけど、オリンピックでは女子の方をメインに、特に佐野さんの活躍を見たいなと思っています。