空似

 先日、京都祇園祭山鉾巡行を見物しに行きました。京都に来てだいぶ経つので、いわゆる夜祭的な宵山、宵々山には何度も行ったけれど、午前中に行われる山鉾巡行は朝起きて京都テレビをつけるとやってるものというイメージでした。祭のハイライトではあるものの、要はパレードなわけで、延々と沿道で見物するほどのものではないな、と思っていたのが本音。ギャラリーも平均年齢高めだし。

 それが今年は意を決して見に行くことにしました。先輩に見物席の券をもらったことも大きな要因です。四条通りに9時半に着くと、早速薙刀鉾が通り過ぎていきました。ちょっと出遅れたようです。券を配るほどの席なので、確かに見やすくいい写真も撮れました。ただ、完全に日当なのでいい具合に焼けました。全32台が通り過ぎるのに3時間くらいかかったので、お年寄りにはちょっときつい席だったかもしれません。

 そんな中、ある山が前が詰まったために目の前でいったん停止し、引き手の青年がこちらを見ていることに気付きました。しばらくすると、こちらに何か訴えかけているようにも見えてくる。周りにも人はいるはずだから別に僕に対しての訴えでもないだろうと思って、それとなく見ていたら、彼はいつまでもアピールをやめようとしない。結局こちらから何を返すこともなく、再び山は動き出し、青年は山と共に行ってしまいました。知り合いだったのかもしれない、でも自分では認識できなかった。引き手の青年、大学生だろうか、地元の人だろうか。どちらにしても失礼ながらピンと来なかった。縁があれば再開したときにお叱りをいただけるだろう。

 そんな帰り道、歩道を歩いていると、逆方向に進んでいくホテルの送迎バスの運転手が、窓から手を上げてこちらに向かって何か声をかけている。しかも何だか笑顔だ。はて、大型者の免許持ちの知り合いは複数いるものの、実際にバスの運転をしている知り合いがいただろうか。記憶の引き出しを探っているうちにバスは行ってしまった。僕に声をかけたのか、自意識過剰だったのか。

 世の中には自分とそっくりな人が3人くらいいると言います。実際にそっくりさんにあったことはないのだけど、もしかしたら近くにいるのかもしれない。はたまた、国家の陰謀か何かだろうか。自意識過剰だろうか。

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