背中を押されて

休講やら授業の変更などの、ちょうど一週間何もない、ということになった。

正確には2コマくらいは自主休講になるかもしれないけど。

せっかくのまとまった時間だし、社会は休みではない時期だから、ちょうどいいと思って東京に出かけることにした。

東京の人間からすれば忙しい時期にひょっこりとやってきて、飲もうだの泊めてだの言われるのは迷惑だろうが、気にも留めずに適当なところから会ってみることにした。

まず行ってみたのが慶應義塾大学だった。

旧い友人がいたのだけど、だいぶ疎遠になっていて、連絡先さえもう分からない。

ただ、慶應の学生であるということは知っていたので、もしかしたらばったり会ったりしないものかという、楽観的な理由だった。

洒落た感じの東京の私大生の中をふらふらしながら、1コマだけ授業に出たりして、慶應ボーイを満喫した。

結局、彼に会うことはなかったけれど、別の旧い知り合いに会うことができた。

ただ、少しセンチメンタルな展開になった。

次の日になって、別の友人を呼び出して原宿に出かけてみた。

原宿で買い物なんて気後れすることもあったけれど、多少のやぶれかぶれと、要るものは買おうという精神から、吉田カバンの店に行った。

そこで、使いやすそうなウエストバッグを買った。

見た目以上に物が入るこの子は、まだまだ活躍中。

ストレスによる衝動買いだって、いい買い物ができないと決まってるわけじゃない。

衝動買いをしようとするたびに、この子が背中を押してくれる。