マラソンとダンディーさん

先日、つくばマラソンに出てきました。

ハーフマラソンなら京都で走ったことがあったけれど、フルマラソンは初挑戦。

時期的にあまり余裕のある日程ではなかったものの、いちおう日頃5kmくらいは走っていました。

走ったことのある人なら分かるでしょうが、そんな甘いもんじゃありませんでした。

半分の折り返しまではだいぶ調子に乗って、

『4時間を切るのだって夢じゃない』

とばかりのペースで、しっかり21kmを2時間で走れたのです。

ただ、そのペースがいつまでも続くわけもなく、次第に足が進まなくなっていきます。

心臓は問題ないのに、ただただ足が運ばなくなって行きます。

33kmを過ぎるとつりそうになる足をかばうようになり、ストレッチをしたり、歩いてしまったり。

結局、ゴールには辿り着けたものの4時間44分という結果でした。

周りの人に報告すると、みんな同じように

『初挑戦にしては速い』

と褒めてくれます。

実際そうなのかもしれないけど、僕自身はもっといけるものだと甘く考えていたのです。

それだけでなく、タイムはどうあれ最後まで歩かないでゴールできるものだと思っていたのです。

その辺がすごく心残りで、とりあえず完走したけれど、脚力の弱さとか自分のペースとか、いろいろ気付かされるマラソン、いい経験になりました。達成感はほとんどなかったけれど。

得たものは他にもあって、今回ゲストランナーとしてダンディー坂野さんが出てたのです。

しっかり練習しただけあって、4時間半より速いタイムで走ったようです。完敗です。

ただ、走っている最中にそんなダンディーさんを見かけたのです。

ちょうどペースが落ちて苦しくなったあたりの給水所で、水とバナナをもらっていました。

するとバナナを渡していた子供が

ダンディーだ!』

と言うのです。

僕の方はあまり余裕がなく、ゆっくり振り返りかけたとき、ダンディーさんが

『バナナ、ゲッツ!』

とサービスしているのが聞こえたのです。

ここまできてもまだまだ余裕があったダンディーさん、しばらくそのオーラのない背中を追いかけたりもしましたが、いつしか引き離されてしまいました。

それでも、この時期になって生の『ゲッツ!』を聞けたのは希少以外の何ものでもありません。