遺影撮影会

お盆前に祖母の家で過ごしてきた。

特にすることもないので、ごろごろと過ごしていたんだけど、

ふと、祖母が

『遺影用の写真を撮ってくれんか?』

と言い出した。

うまく一人で写っている写真はだいぶ古くて、遺影には使えそうもないのだと言う。

確かに一眼レフを持ってきてるから、多少はいい写真が撮れるだろうけど、

そもそも遺影なんて撮ったこともない。

写真館で撮るものでもなさそうだけど、

『今日は天気もいいし、遺影でも撮るか』

ってものでもなさそう。

縁起が悪いかもしれないとは思ったものの、断る理由もないので撮ることにした。

とりあえず室内で何枚か撮り、さらに外へ出て数枚。

レフ板がある訳でもないから、本体のフラッシュを何となく焚いてみたり焚かなかったり。

結局どう撮ったら遺影に使えて、どう撮ったら使えないのかも分からず、

ポートレート写真が数枚撮れて、撮影会は終了した。

考えてみれば、祖母の写真を撮るなんて、したことがなかった。

もし、近いうちに祖母が亡くなるようなことがあれば、

ほんとに遺影として使われるのかもしれないが、不思議と縁起のわるいこともない気がした。

それはそれでお互い本望だろう、と。

欲を言えば会う度に撮るようにして、いつもアップデートしておきたいけれど。

その勢いで母も撮っておこうかと思ったけれど、さすがにまだまだ遺影はいらないのでやめておいた。