続•夏の旅行

旅の続き。

高松での夜、次の日はしまなみ海道の途中の島にある一宮を訪れようと思ったものの、

バスで行ってしまうとほんとに神社だけを参って帰ってきてしまい、

瀬戸内の良さを満喫できないんじゃないかと思う。

かと言って一人でレンタカーはもったいない。

そんなとき、偶然僕の前途を心配してくれた友人からの連絡をきっかけに、

しまなみ海道をレンタサイクルで縦断したお嬢さんの話を思い出す。

『そうか、今日みたいに自転車で行けば交通費も浮く上に瀬戸内を満喫できるぞ』

翌朝6時初の特急に乗り込み、今治へ向かった。

しまなみ海道のレンタサイクルはだいぶ人気らしく、駅前で貸してくれる。

レンタサイクルのおばちゃんに、大三島というところまで行って戻ってこようと思う、と伝えると

『それなら昼過ぎには帰って来れるよ』

どうやら4時間もあれば帰ってこられそうな言い方だ。

17時までに返して欲しいらしいが、そんなのは朝飯前だ。

颯爽としまなみの入り口へ向かった。

ところが今年も結構な猛暑で、あっという間に汗がしたたる。

仕方なく、タンクトップにハーフパンツ、サンダル、という完全な夏の少年モードになった。

いつも部屋の中では健康に悪い、夏なんだから少しくらい焼けなくては。

自転車で渡る橋はまた格別で、ちょっとだけ涼しかったりもする。

島にはきれいな砂浜がいっぱいあるのにほとんど誰も泳いでいない。

どうせ時間があるのだ、と思い立ちコーナンに立ち寄り水着を買った。

熱中症対策に、暑くなればちょっと海水浴をして、また自転車をこぐ。

そんな優雅な自転車旅を続けた。まさに夏休み。

そんなこんなで神社に着くと既に昼前になっていた。

走ってきた距離を考えても、既に40km近く走っている気がする。

おばちゃんの言う通りならば、時速20kmで自転車を漕ぐのが普通ということになる。

そんな疑問を持ちながらも、神社から15km先に『ゴール』という名の場所があるらしい。

それならば行こう、と進んだ道は自転車はおろか車すら来ない道だった。

這々の体で今治まで帰ってきたのは16時半。

一応時間通りに自転車を返すと、朝のおばちゃんAともう一人、朝はいなかったおばちゃんBがいた。

思った以上に遠かったのだ、と弁明すると、Bがどこまで行ったのか聞いてきた。

大三島にあるゴールへ行ってきたというと、『往復すると100kmくらいあるね』と驚いてくれた。

するとAも『そんなにあるんかい』と驚いた。

『すぐそこだとばっかり…』

『あんた、そんなん縦断より長いわ』

と、BがAを少し責めるような形になってきた。

少し居たたまれなくなって、仲介してから松山へ向かった。

『大丈夫です。僕はこうして帰ってきましたから』

松山ではしまなみの疲れを流すため、意気揚々と道後温泉に出向いた。

が、道後の湯は瀬戸内の日差しを全身に受けた僕の体には刺激が強く、湯船に入るのもままならなかった。