京都食文化

ドイツからやってきた留学生と一緒に京都を周るという機会があった。

もちろん京都には長々と住んでたわけだから、いわゆるメジャーどころの初心者コースから、多少コアな感じのところまで要望に応じてプランを組むくらいのことはできる。

今回のダニーにはあらかじめ行きたいところをピックアップしてもらったところ、まさに京都らしいところを挙げてくれた。

二条城、金閣銀閣清水寺伏見稲荷大社。一日半あるから祇園平安神宮だって行けるぞ、という勢い。

土曜の昼に神戸から京都に向かって、夕方の伏見稲荷を散策する。

僕の大好きな時間帯で、並び立つ鳥居から出るとい世界に取り込まれそうな逢魔時。

しかし、夜になって祇園も散歩してから、いつもの問題に遭遇した。

『京都らしいもの』というのはいろいろある。

観光地しかり、お土産しかり、建物、町並みしかり、方言だって。

ただ『京都らしいものが食べたい』というリクエストにはいつも悩まされる。

京懐石なんて気軽には行けないし、にしんそばはさすがにがっかりしてしまう。

天一は好みが分かれるだろうし、いいラーメン屋も多いけど、そもそもラーメンでいいのか?となる。

結局、祇園先斗町の雰囲気のある飲み屋さんを探すことになるわけだけど、今回もダニーの

『食べたことのないものがいい』

というリクエストに応えて、なぜか京都でもつ鍋を食べることにした。おいしい店だからいいのだけど。

食の問題は最後まで解決せず、次の朝は吉野家の朝定食、昼は白梅町の王将、夜は秋葉原に戻ってカレー、というもはや一人暮らしの日本人男性の平日のような献立を披露した。

感想を聞くと、

『観光はばっちり、食べ物は最後のカレー屋でチキンカツカレーと間違えてノーマルのカレーを頼んだことだけが心残りだね(意訳)』

とのこと。

関西なんだから、せめて粉ものでも食わせてやればよかったというのが僕の心残りではある。