青の時代

『青が好きですよね?』

少し前に指摘された。

自分では好きな色としては認識していなかったものの、改めてその質問の理由を聞いてみると、携帯も青、ipodのケースも青、車も青ではないか、と言う。

あぁ、確かにその通りだ。僕の持ち物には青が多い。

小学生の頃はたしか好きな色として緑をあげていた。

特に理由はなかったと思うが、男の子なら赤系の色は避けたくて、白とか黒とかを選ぶような子供でもなかった。

青というといかにもそれっぽくなるのがイヤだったから、少しずらして緑、と答えていたのか。

もしくは親戚とかに『緑が好きなのね』と指摘されたからそう思い込むことにしたのか。

とにかく中学生くらいまでは好きな色は『緑』。

その後は何色が好きという意識もなく、白とか黒とか透明感のある色、とかなんだかあやふやな色を好きな色としてあげるようになって、高校時代が過ぎた。

大学に入って多少は服装にも気を使おうと思ったとき、彼女さんなんかの勧めとかもあって赤やら紫やらも試してみるようになった。モノトーンは簡単だろうけどオタクっぽいから、色味のあるものを試せ、と。

おかげで自分に何色が似合うのかは結局分かっていないものの、少し冒険した色の服も買えるようにはなった。

ただし、好きな色とその色の服を着るかどうかは別の話で、『好きな色』についてはあまり定まった見解は持ち合わせていなかった。

そんな時期も過ぎて気づくと青いものばかりを持つようになっていた。

意識もせずキャラ作りでもなく青を好むようになっていたらしい。

まだ自分で『青が好きだ』と認めているわけではないけれど、気づくとそうなっていた、というのが自然に好きになった証明なのかもしれない。

ベタなラブコメで『あれ?俺、こいつのこと好きなのか?』って気付くみたいな。

きっとまた別の色に移ろうんだとは思っているのだけど。